U 学習指導の基本



9 自立活動

  自立活動は、子どもが自立した生活をしていけるよう、障害から生じる困難さを解決していくための知識や技能、態度、習慣を身につけていく領域として設定されています。障害により発達に偏りが生じやすいことから、調和的な発達の基盤を培うものでもあります。
 指導にあたっては、学校教育活動全体を通して行い、必要に応じて時間を特設します。

 知的障害特別支援学級では、特に時間を設けず、学校教育活動全体を通して行われていることが多いようです。知的障害の子どもでも、発達の偏りが大きい場合は、自立活動の指導が大切になります。


自立活動の内容


 自立活動の内容は、6つの区分と26の項目に分類・整理されています

 1 健康の保持
(1) 生活のリズムや生活習慣の形成に関すること。
(2) 病気の状態の理解と生活管理に関すること。
(3) 身体各部の状態の理解と養護に関すること。
(4) 健康状態の維持・改善に関すること。

 2 心理的な安定
(1) 情緒の安定に関すること。
(2) 状況の理解と変化への対応に関すること。
(3) 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関すること。

 3 人間関係の形成
(1) 他者とのかかわりの基礎に関すること。
(2) 他者の意図や感情の理解に関すること。
(3) 自己の理解と行動の調整に関すること。
(4) 集団への参加の基礎に関すること。
4 環境の把握
(1) 保有する感覚の活用に関すること。
(2) 感覚や認知の特性への対応に関すること。
(3) 感覚の補助及び代行手段の活用に関すること。
(4) 感覚を総合的に活用した周囲の状況の把握に関すること。
(5) 認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関すること。

 5 身体の動き
(1) 姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること。
(2) 姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること。
(3) 日常生活に必要な基本動作に関すること。
(4) 身体の移動能力に関すること。
(5) 作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること。

 6 コミュニケーション
(1) コミュニケーションの基礎的能力に関すること。
(2) 言語の受容と表出に関すること。
(3) 言語の形成と活用に関すること。
(4) コミュニケーション手段の選択と活用に関すること。
(5) 状況に応じたコミュニケーションに関すること。



自立活動の個別の指導計画作成について


 自立活動では、指導の時間を設ける、設けないにかかわらず、一人一人の子どもに必要な自立活動の内容を個別の指導計画において、明らかにしていくことが必要です。

 自立活動の個別の指導計画作成手順例

@ 子どもの障害の状態や発達段階等を把握する。
A 実態から、長期(1〜3年程度)、短期(1〜3か月程度)の指導目標を設定する。
B 指導内容を設定する際の留意点として、自立活動の内容から子どもに必要なものを選定し、関連づけながら具体的な指導内容を選定する。
C 目標を達成するために必要な指導内容を、スモールステップで取り上げる。
D 子どもの障害の状況と適切な指導内容・方法については、必要に応じて専門の医師及び他の専門家の指導助言を求める。




 


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